9/30/2019

筒香嘉智選手の日本外国特派員協会での記者会見 (3)

2019年1月25日

記者: 私は子供たちのトーナメントを拝見したことがあるんですけれども、その中でお母さま方からすごくあったんですね。当然お母さんというのは子供にものすごい影響力を与えるものです。そして、私が知ったところによると、お母さまというのは今の在り方、これはもうスポーツではなく武道のようではないかと。あと、今お母さまたちが置かれている状況にも、例えば夏休みずっともう練習に行かないといけないとか、あと子供たちと指導者の方のために100人分のお昼ご飯を作らなきゃいけないとか、そういうことがあったということは存じ上げてるんですけれども、筒香さん自身、お母さま方に関する何か調査というか、実際にお母さまとお話をされたとか、そういう現状、ご存じでしょうか。

筒香: はい。私は堺ビッグボーイズの出身です。オフシーズン、堺ビッグボーイズさんのほうに行かせていただいていろんなお話や交流させていただいています。

通訳: お母さまと直接お話。

筒香: その中で、堺ビッグボーイズのお母さまからまずは自分の家のチームに見学に行ったら、あまりにも怖過ぎて入部できなかったというお母さんも多々いました。あとは、周りのチームが練習長過ぎるので子供たちが遊びにも行けない、勉強する時間もない。親もお茶当番もあるので、子供たちとどこかへ出掛けたり、親が、お母さん方が何かしたいことも何もできないという声がありました。そういう中で堺ビッグボーイズでは、お茶当番の強制など、そういうことはまったくしていません。

 堺ビッグボーイズの今、小学部は、70人ほど、70人弱ぐらいいます。年々入部数が増えているのが現状です。本当に子供たちの将来を考え野球を楽しませる、楽しめる環境をつくれば、野球人口が減っているといわれていますが、野球人口というのは増えていくのかなと思っています。

記者: メジャーリーグに行った場合、どういった点でご自身をアピールしたいでしょうか。というのは、時として日本の選手がメジャーリーグに行った場合、逆効果で、ネガティブに効果を与えてしまうということがあるかと思うんですね。例えば楽天イーグルスの田中さんが例かと思うんですけれども、その辺についてどう思われますでしょうか。

筒香: 私自身は田中さん、素晴らしい投手だと思っていますし、日本のみんなが憧れますような投手の方だと思っています。私自身はメジャーリーガーという夢はありますが、先ほども言わせていただきましたが、今年は横浜DeNAベイスターズでプレーします。今はそっちの頭よりは、今シーズン日本で一生懸命チームの勝利にプレーすることだけを考えています。

記者: 初めて筒香選手が野球界の現状について考えるきっかけはなんだったかというものと、筒香選手自身はWBCで球数制限っていうルールの下でプレーしましたけど、今までプレーしてきた中で、何か違和感というか、違いはあったのかどうか。実際にプレーしても問題がないのであれば、やはり適用すべきだと考えるに至ったのか、2点お伺いしたいです。

筒香: 一番最初は出身チームでもある堺ビッグボーイズの瀬野代表といろいろお話しさせていく中で、野球界の現状が、今こういうことがあるという現状をお話を聞き、そして、ドミニカに実際に僕自身が行かせていただいたときに、あまりにもちょっと日本と違い過ぎたので、そこからいろんな考えというか、今まで以上にいろんなことを発信していくきっかけになりました。

 WBCの球数制限は、普通に考えればプロ野球選手、大人が球数制限で守られているという中で、子供たちが球数制限、子供たちが守られてないというのは、これはおかしい話だと僕は思いました。球数制限をやって僕自身試合する中での違和感というか、そういうものはありませんでした。

記者: 日本語で質問させてもらいます。今のコーチ陣、例えば40以上だとして、そういう人たちはたぶんスポ根アニメとか、『巨人の星』とか、そういうようないわゆる厳しい練習をすれば成功するみたいな、そういう成功例みたいなアニメーションだったりとか、ドラマとか、そういうのを見て育って、それがたぶんもちろん実際のプレーも含めてですけれども、そういうのを見ながら育ってきているので、それが焼き付いているんじゃないかなと思うところがあります。今のそういうのは、今の子供たちは将来のこともあるのでそれは適さないんじゃないかっていうことで、スポ根と今の現状とはどういうふうな関係があるのかなっていうのをちょっと聞きたいっていうのと、ちょっと難しくて申し訳ないんですが。

 あとドミニカに行かれてた時に、やっぱりそういうスポ根みたいなところを感じることがドミニカの少年たちともし交流してたのであれば、そういう海外の人たちは、そういうスポーツに対する子供たちの考えに、血がにんじでもやるぞ、みたいなそういうようなことを感じたのかどうなのかちょっと教えてください。

筒香: アニメと、もちろんアニメが好きで楽しいと思う方もたくさんいらっしゃいますと思いますが、野球界におくと、もちろんそういうイメージでやられている方はいるかもしれませんが、自分が経験してきたこと、そういうことだけを伝えるから問題が今起きているわけであって、指導者の方も常に同じように成長して、頭もアップデートされ、子供たちのためになるような指導をしないと、またこういった現状が起きると思います。あとドミニカでそういうことは感じたこともなかったですし、そういう発想にすらドミニカの野球を見ているとならなかったです。

記者: 質問2つありまして、1つは、これは日本だけの問題ではないと思うんですけれども、プロ野球界全体のことが、お金が絡んでいるということでこういう現状になっているのか。それとも何か文化的背景があってのことなのか。そして2番目の質問は、先ほどから野球人口の減少、そういった野球に対する興味が減っているということですけれども、何かの形で子供たちにもっと野球に興味を持たせる方法というのが、何か思い付いていらっしゃるのであれば教えてください。

筒香: はい。プロの世界ではファンの方があってのプロ野球選手だと僕は思っていますし、そこに試合を見に来る、料金が発生するのは当然のことだと思いますが、高校野球で言うと高校の部活に大きなお金が動いたり、教育の場といいながらドラマのようなことをつくるようなこともあります。新聞社が高校野球を取材していますので、子供たちにとって良くないと思っている方はたくさんいると思いますが、なかなか高校野球の悪というか、全てを否定しているわけではありませんが、子供たちのためになっていないという思いをなかなか伝え切れていないのが現状かなと思っています。

 毎年、年々全国で野球体験会というのが増えています。野球をやっていない子供たちのところに野球選手が出向いて体験会を行っています。高野連のほうも今後の野球の普及を挙げており、体験会をするということをおっしゃっていましたが、高校野球部員たちが野球をやっていない子供たちのところに行って、野球の素晴らしさを伝える活動をしていくと思います。

 そのこと自体はすごく大切なことで悪いことだとは思わないですが、そこで興味を持って野球を始めた子供たちが、そこで体感したことと実際のチームに入ったときにあまりにもギャップがあるということで野球をやらないという方も、子供たちも多く聞くので、体験会をすることは素晴らしいですが、チームに入ったときのチームの在り方、環境が問題なのかなと思っています。

記者: まずやっぱり指導者がどう変わっていくかといのが一番大事になってくると思うんですけど、なかなか凝り固まった考えを正していくというのは難しいと思うんですが、例えばライセンスの導入だったりとか、具体的にこういうふうにしていくべきなんじゃないかと、筒香さんがお考えのことを教えてください。

筒香: 指導者の方は、小学校、中学生でいうと、基本的には平日仕事をして土日ボランティアで子供たちに指導をされている方が多いと思います。ですので、なかなか仕事のほうも考えないといけない、子供のほうも考えないといけない。勉強する時間も、自身の家庭もあると思うので、なかなかそちらに時間を取れないという現状があると思いますので、近いことでいうと、やはりルールを決めて、まずは子供たちを守ることから始めることが一番じゃないかなと思っています。

司会: 横浜ベイスターズのキャプテンでいらっしゃる筒香さんに、やはりこれはどうしても聞いておかなければいけないんですけども、今シーズンリーグ優勝の行方はどうなるかということと、そして20年間リーグ優勝がない今、今年その可能性はあるのでしょうか。

筒香: はい。横浜ベイスターズは素晴らしく、能力の高い選手が多いチームだと全員が感じていると思います。全員が、1人1人力を出し切れば必ず優勝できると僕は信じています。

筒香嘉智選手の日本外国特派員協会での記者会見 (1)
筒香嘉智選手の日本外国特派員協会での記者会見 (2)